保護者のお悩み相談室 #6 自分から「サッカーやりたい」と言って始めたのに、家ではまったくボールを触らない。「上手くなりたいなら自主練しなよ」と言っても、生返事ばかり。周りの子は毎日リフティングしていると聞くと、つい焦って口うるさくなってしまう――。やる気が見えない我が子にイライラしてしまう、そんな保護者の悩みを一緒に考えます。
「やる気がない」ように見えて、実はそうでもない
まず、家でボールを触らない=サッカーが嫌い・やる気がない、とは限りません。練習で十分に体も気持ちも使い切っている子は、家では休みたいのが自然です。友だちと過ごす時間やゲーム、ほかの遊びも、その年代の子にとっては大切な栄養です。
- 練習・試合でエネルギーを出し切り、家では回復に充てている
- サッカーは好きだが、「一人での自主練」が楽しいと感じていないだけ
- 何をどうやればいいのか分からず、動き出せていない
「やる気がない」と決めつける前に、本当にやる気の問題なのかを切り分けてみてください。多くの場合、足りないのはやる気ではなく、「やりたくなる理由」や「やり方の入り口」だったりします。
「やらせる」ほど、やる気は遠ざかる
ここがいちばん大事なところです。「練習しなさい」と繰り返すほど、子どものやる気はしぼんでいく傾向があります。人は、自分で決めたことには前向きになり、やらされたことには気持ちが向かないからです。
外からの圧力(叱る・ごほうびで釣る)で動かすと、一時的には机に向かっても、その力が消えたとたんに止まってしまいます。そして何より、「サッカー=親に言われてやるもの」という感覚がしみつくと、内側から湧いてくる「好き」そのものが冷めていきます。長く続けて伸びていく子ほど、この「自分でやりたいからやる」という気持ちを大事に持っています。過度な声かけが重荷になる仕組みは過度な期待とプレッシャーもどうぞ。
「やらせる」のではなく、「やりたくなる」環境を作る
では親は何ができるのか。答えは、強制ではなく、動きやすい仕掛けを用意することです。子どもが自分から手を伸ばしたくなる環境を、そっと整えてあげます。
| ありがち(逆効果) | 置き換え(動きやすくする) |
|---|---|
| 「練習しなさい」と命じる | 玄関にボールを置き、いつでも触れるようにする |
| ノルマ(毎日100回)を課す | 「一緒に5分だけやる?」と誘い、親も混ざる |
| 上手い子と比べて発破をかける | 憧れの選手の動画を一緒に見て「まねしてみる?」 |
ポイントは、ハードルをうんと下げること。「1日5分」「好きな技だけ」で十分です。うまくいったら大げさに一緒に喜ぶ。親が「やらせる監督」ではなく「一緒に楽しむ相棒」になると、子どもは驚くほど動き出します。何を家でやればいいか迷ったら家でできる自主練メニューが入り口になります。
そもそも自主練は「必須」ではない
「毎日自主練しないと置いていかれる」という不安は、しばしば大人の思い込みです。この年代は、チームの練習と、友だちとの外遊びの中でもサッカーは十分に伸びます。自主練はあくまで「やりたい子がやると、もっと楽しくなる」ものであって、義務ではありません。
たとえばリフティングも、回数を競うためではなく、ボールと仲良くなるための遊びと捉えると気が楽です(リフティングは意味ある?)。「やらないとダメ」ではなく「やると面白い」。この順番を大人が守れると、子どもは自分のタイミングで、自然とボールに手を伸ばすようになります。
親の「イライラ」も、正体を見てあげる
自主練しない我が子にイライラする――これは、親としてごく自然な感情です。でも、そのイライラの正体をたどると、「周りに置いていかれたら」という親自身の不安や、「月謝を無駄にしたくない」という気持ちだったりします。それは子どもの問題ではなく、親側の心配であることも多いのです。
- イライラしたら、口を開く前にひと呼吸。「これは自分の不安かも」と一度ラベルを貼る
- 「なんでやらないの」ではなく「今日はどうだった?」と、サッカーを楽しい話題に戻す
- 他の家庭と比べるのをやめ、その子のペースを一緒に信じる
親が笑顔でサッカーの話をする家庭は、それだけで子どもの「好き」を守る場所になります。イライラをぶつけて「好き」を削ってしまうのは、いちばんもったいない結果です。
気持ちが本当に離れてきたと感じたら
自主練をしないだけでなく、練習に行きたがらない・サッカーの話をすると表情が曇る・「もうやりたくない」と口にする――こうしたサインが続くときは、やる気の問題ではなく、疲れや燃え尽き、環境との相性かもしれません。無理に発破をかけず、いったん休ませる選択も含めて考えてみてください(「辞めたい」と言われたら)。必要に応じてコーチや専門の相談窓口に頼りながら、まずは「好き」を守ることを最優先に。
あなたのご家庭のモヤモヤも、よければ保護者のお悩み相談室から聞かせてください。