9月に入っても、グラウンドの暑さはそう簡単には引きません。気温が少し下がっても、真夏の疲れが残る体には残暑がこたえます。熱中症は「真夏だけのもの」ではなく、残暑の練習・試合でも起こり、ときに命に関わります。この記事は、U-12を中心としたジュニア世代の子どもと保護者に向けて、残暑期の熱中症対策を公的機関の情報をふまえて整理したものです。特別な裏技ではなく、当たり前のことを確実にやることが、いちばんの予防になります。

まず「暑さ指数(WBGT)」を見る習慣を
気温だけを見て「今日は30度だから大丈夫」と判断するのは危険です。熱中症のリスクは、気温に加えて湿度・日射・地面からの照り返しが大きく影響します。これらをまとめて一つの数字にしたのが、環境省が公開している**暑さ指数(WBGT)**です。
環境省の熱中症予防情報サイトでは、全国各地の実況値と予測値が確認でき、危険度が高い日には熱中症警戒アラートも発表されます。練習や試合の前に、その地域のWBGTを大人がチェックする習慣をつけたいところです。指数が高い日は、活動時間をずらす・運動を軽くする・中止するといった判断が、子どもの体を守ります。子ども自身は「大丈夫」と言いがちなので、判断は大人が数字をもとに行うのが基本です。
予防の柱|水分・塩分・暑熱順化・休憩
熱中症の予防は、いくつかの基本の積み重ねです。
- こまめな水分補給:のどが渇いてから飲むのでは遅いことがあります。渇きを感じる前から、少しずつ回数を分けて飲むのが基本です。長時間・大量に汗をかく場面では、水だけでなく塩分(電解質)も一緒に補える飲み物が役立ちます。
- 塩分の補給:汗で失われるのは水分だけではありません。大量に汗をかくときは、経口補水液やスポーツドリンクなどで塩分もあわせて補う考え方が一般的です。ただし普段の食事が細くなるほどの飲み過ぎには注意し、量やタイミングは体調に合わせて調整します。
- 暑熱順化(暑さに体を慣らす):体は、少しずつ暑さに慣れることで汗をかいて熱を逃がしやすくなります。久しぶりの活動や、涼しい日が続いた後に急に激しく動くのは危険です。運動の強さや時間は段階的に戻していきます。
- 休憩と給水タイム:日陰での休憩、定期的な給水タイムを活動に組み込みます。風通しや日陰の有無も含め、環境そのものを整えることが大切です。
日本サッカー協会(JFA)も、メディカルの情報として暑熱対策・水分補給の考え方を発信しています。チームとしてのルール(給水の頻度、WBGTでの中止基準など)を、指導者・保護者で共有しておくと安心です。
体調がおかしい、と思ったら ― 対処の基本
予防をしていても、体調が変化することはあります。「いつもと違う」と感じたら、まず運動をやめることが第一です。
一般的に、めまい・立ちくらみ・大量の汗・筋肉のこむら返り・気分が悪い・頭痛・吐き気などがみられたら、熱中症を疑います。その場合は、
- 運動を中止して、涼しい場所(日陰・室内)へ移動する
- 衣服をゆるめ、体を冷やす(首・わきの下・太ももの付け根などを保冷剤や冷たいタオルで)
- 水分・塩分をとる(自分で飲める状態であれば)
といった対応が基本とされています。
迷ったら救急を ― 重症のサイン
次のようなサインは、命に関わる重症の可能性があります。ためらわず救急車(119番)を呼んでください。
- 呼びかけへの反応がおかしい、意識がはっきりしない
- 自分で水分をとれない、まっすぐ歩けない
- けいれんしている
- 体が熱いのに汗が出ていない、ぐったりしている
「大げさかな」と様子を見ているうちに悪化することがあります。子どもの熱中症は進行が速いことがあるため、判断に迷う時ほど早く動くのが安全です。
保護者・チームでできる備え
- 活動前に大人がWBGTと当日の予報を確認し、無理のない計画にする
- 十分な量の飲み物・予備の水・保冷剤・タオルを用意する
- 「気分が悪いときは我慢せず言っていい」と、日頃から子どもに伝えておく
- 睡眠不足・朝食抜き・体調不良の日は、無理をさせない
熱中症は、正しく備えれば多くを防げます。一方で、対応が遅れると重くなりやすいテーマでもあります。
※本記事は一般的な予防情報を編集部がまとめたものです。診断・治療を示すものではありません。体調不良や気になる症状が続く場合、また重症を疑うサインがある場合は、ためらわず医療機関の受診や救急要請(119番)を行ってください。
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