試合が終わって駆け寄ってきた子どもに、あなたは最初に何と言っているでしょうか。「勝った?」「何点取った?」「なんであそこでシュート打たなかったの」——悪気なく出た言葉が、子どものサッカーへの気持ちを少しずつ削っていることがあります。声かけは、上手い下手を教える技術ではありません。ただ、同じ内容でも「言い方」で子どもの受け取り方は大きく変わります。この記事では、U-12年代のわが子への声かけを、試合後・車内・ダメ出しの3場面に分けて、具体的なフレーズの対比で整理します。

試合後の第一声 ― 結果より先に「気持ち」に触れる
試合直後の子どもは、勝っても負けても感情がまだ落ち着いていません。そこへ最初に「勝敗の確認」や「プレーの指摘」が飛んでくると、子どもは「親は結果を見に来ている」と受け取りがちです。
第一声は、評価ではなく気持ちに触れる言葉から入ると、その後の会話がやわらかくなります。
- OK例:「お疲れさま。楽しかった?」「暑い中よく走ってたね」
- NG例:「勝った?」「なんで負けたの」「あのシュート外さなければ」
「楽しかった?」は勝敗を問わず使え、子どもが自分から試合を振り返るきっかけになります。うまくいかなかった日ほど、まずは頑張った事実を認める一言が、次に向かう気持ちを守ります。
車内の会話 ― 「詰める場」にしない
送迎の車内は、逃げ場のない密室でもあります。ここで反省会が始まると、子どもにとってサッカーの帰り道が憂うつな時間になりかねません。
車内では、親が話し続けるより、子どもが話したくなったら聞く姿勢のほうが効きます。子どもが黙っているなら、無理に振り返らせず、そっとしておく日があってもかまいません。
- OK例:「今日いちばん良かったプレーどれ?」「次やってみたいことある?」
- NG例:「さっきのプレーはさ」「コーチも言ってたけど」「◯◯くんは上手だったね」
とくに他の子と比べる言葉は、本人が口にしていなくても心に残ります。比較についてはつい他の子と比べてしまう ― 成長のスピードは一人ひとり違うでも詳しく触れています。
ダメ出しの前に ― まず「聞く」
プレーについて伝えたいことがあるのは自然なことです。ただ、伝える前に順番があります。親が見えていることと、ピッチにいた本人が感じていたことは、しばしば食い違います。
指摘の前に「本人はどう思っているか」を聞くと、的外れなダメ出しを避けられ、子どもも「話を聞いてもらえた」と感じます。
- OK例:「あの場面、自分ではどう見えてた?」「次はどうしたいと思ってる?」
- NG例:「だから言ったでしょ」「何回言えばわかるの」「そんなんじゃ試合に出られないよ」
「脅し」や「見捨てるような言葉」は、その場では効いたように見えても、サッカーそのものへの不安につながることがあります。伝えたい技術的な点があるときは、まず本人の言葉を引き出してから、一つだけ具体的な行動として渡すと届きやすくなります。
褒めるなら「結果」より「具体的な行動」
「すごいね」「上手だね」といった褒め言葉は悪くありませんが、抽象的だと子どもは何が良かったのか分かりません。ゴールや勝敗といった結果だけを褒め続けると、結果が出ない日に自信を失いやすくもなります。
褒めるときは、目にした具体的な行動を言葉にすると、子どもは「見てくれている」と感じ、その行動を続けようとします。
- 「最後まで戻って守ってたの、見てたよ」
- 「転んでもすぐ立ち上がって切り替えてたね」
- 「味方に声かけてたの、いいと思った」
こうした過程への言葉は、勝った日も負けた日も使えます。
それでも、正解は一つではない
ここで挙げたのはあくまで一般的な考え方で、すべての子・すべての家庭に当てはまる唯一の正解ではありません。よく話す子もいれば、放っておいてほしい子もいます。大切なのは、決まったフレーズを暗記することより、目の前のわが子がどんな声かけで前を向くかを、日々のやり取りから見つけていくことです。
もし、声かけを工夫しても子どもの元気がずっと戻らない、表情が暗い状態が続くといった場合は、家庭だけで抱え込まず、コーチやスクールカウンセラー、医療機関などの専門家に相談することも選択肢に入れてください。
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